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大阪地方裁判所 昭和63年(わ)3792号 判決

本籍

大阪府泉大津市東助松町三丁一一番

住居

同市東助松町三丁目一一番一六号

会社役員

辻本一成

昭和一三年九月一二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官藤村輝子出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年八月及び罰金五〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人辻本一成は、大阪府泉大津市東助松町三丁目一一番一六号において、「やまいち辻本商店」の屋号で鮮魚卸売業を営むとともに、継続的に有価証券の売買取引を行つていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て

第一  昭和五八年分の総所得金額が一億二五七四万四九九〇円(別紙(一)修正貸借対照表参照)あつたのにかかわらず、申告に際し実際の所得金額に関係なく、ことさら過少な所得金額を記載するほか、有価証券売買取引による所得を全額秘匿した申告書を作成するなどの行為により、その所得一部を秘匿した上、同五九年三月一四日、大阪府泉大津市二田町一丁目一五番二七号所在の所轄泉大津税務署において、同税務署長に対し、右年分の総所得金額が一二二七万三四〇〇円で、これに対する所得税額が二九〇万三三〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて、不正の行為により、正規の所得税額七八九七万〇四〇〇円と右申告税額との差額七六〇六万七一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

第二  同五九年分の総所得金額が二億一四五八万〇八四〇円(別紙(二)修正貸借対照表参照)あつたのにかかわらず、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同六〇年三月一四日、前記泉大津税務署において、同税務署長に対し、右年分の総所得金額が一五一六万五四七〇円で、これに対する所得税額が三八一万四八〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて、不正の行為により、正規の所得税額一億三六八三万一〇〇〇円と右申告税額との差額一億三三〇一万六二〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

第三  同六〇年分の総所得金額が四四八三万二五三三円(別紙(三)修正貸借対照表参照)あつたのにかかわらず、申告に際し実際の所得金額に関係なく、ことさら過少な所得金額を記載した申告書を作成するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上、同六一年三月一三日、前記泉大津税務署において、同税務署長に対し、右年分の総所得金額が一五五八万七四〇三円で、これに対する所得税額が三二九万七三〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて、不正の行為により、正規の所得税額一八四四万三四〇〇円と右申告税額との差額一五一四万六一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

(注)例えば、番号89とあるのは証拠等関係カード検察官請求分番号89を示す。

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通(89、90)

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書二五通(64ないし88)

一  大森豊(47)、内池勝彦(51)及び赤井安志(54)の検察官に対する各供述調書

一  大森豊(46)、矢田誉(48)、内池勝彦(49、50)、赤井安志(52、53)、田中正廣(55)、炭谷隆(56)、森口弥一(57)、浜野勇(58)、辻本勝恵(59ないし61)に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書三五通(10ないし23、25ないし45)

一  泉大津税務署長作成の青色申告承認の取消に関する証明書(9)

判示第一の事実につき

一  泉大津税務署長作成の証明書二通(所得税確定申告書写あるいは所得税修正申告書写添付のもの)(4、7)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(1)

判示第二の事実につき

一  泉大津税務署長作成の証明書二通(所得税確定申告書写あるいは所得税修正申告書写添付のもの)(5、8)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(2)

判示第三の事実につき

一  収税官吏作成の査察官調査書(24)

一  泉大津税務署長作成の証明書(所得税確定申告書写添付のもの)(6)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(3)

(法令の適用)

一  罰条

判示各所為につき所得税法二三八条一、二項

一  刑種の選択

いずれも懲役及び罰金併科

一  併合罪の処理

刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重)、罰金刑につき同法四八条二項

一  労役場留置

刑法一八条

一  刑の執行猶予

懲役刑につき刑法二五条一項

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 松本信弘)

別紙(一)

修正貸借対照表

辻本一成

昭和58年12月31日

No.1

〈省略〉

別紙(二)

修正貸借対照表

辻本一成

昭和59年12月31日

No.2

〈省略〉

別紙(三)

修正貸借対照表

辻本一成

昭和60年12月31日

No.3

〈省略〉

別紙(四)

税額計算書

辻本一成

〈省略〉

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